NPO法人シネマ・アクセス・パートナーズを取材しました

　シブカツではNPO団体との連携を目的として、直接団体を訪問し情報交換を行っています。今回は恵比寿南に事務所があるNPO法人シネマ・アクセス・パートナーズを訪ねました。

　「シネマ・アクセス・パートナーズ（略称：CAP）」は、映画をはじめとした映像メディアに障がい者がアクセスしやすくするために活動し、広く障がい者のQOL（生活の質）の向上に寄与することを目的に設立されたNPO法人です。

　NPOの立ち上げの経緯や、活動内容など興味深いお話をお聞きすることができました。

〇団体の立ち上げの経緯について
　目の不自由な方々が映画を楽しむための環境を整えていこうと草の根的に活動を続けてきたボランティア団体「シティ・ライツ」の有志によって、2006年にCAPが設立されました。
　CAPでは映画会社等からの依頼を受けて映像のバリアフリー化をしています。ユーザーフレンドリーな音声ガイドや字幕を視聴覚に障がいのある方々に提供できるよう、クライアントやユーザーと協力しながら活動を続けています。
　現在映画館では、アプリを使って音声ガイドや字幕付きで映画を楽しめるようになってきましたが、バリアフリー化される作品は、劇場公開される全作品の一割強にとどまっています。

〇活動内容について
　活動は主に3つに分けられます。
・視覚に障がいのある方向けの音声ガイドの制作
・バリアフリー映画上映会の開催支援
・バリアフリー上映や音声ガイドについての広報や研究、教育
【音声ガイドについて】
　みなさんは、映画の「音声ガイド」をご存じでしょうか。
映像が伝える視覚情報（字幕文字、場所や時間の移り変わり、人物の動きや表情など）を「言葉」に置き換え、セリフや状況音、効果音などの合い間に、ナレーションとして付加するツールです。映画館で公開中の作品であれば、作品の公式サイト等で音声ガイド付きかどうか確認できます。音声ガイド付きで市販されているDVDやブルーレイもありますので、ぜひ体験してみてください。利用料などはありません。
　CAPでは、これまで劇場公開映画だけでも115本の音声ガイド制作を担当してきました。
【バリアフリー上映会について】
　映画鑑賞は視覚障がいのある方にとって気軽に楽しめるエンターテイメントですが、地方では映画館までに出かけることに支障がある方や、音声ガイドを知っていてもアプリの操作が苦手な方もいらっしゃいます。
　CAPでは、身近な公民館や公共図書館などで開催されるバリアフリー上映会支援しています。バリアフリー上映会では、字幕と音声ガイドを参加者全員に体験していただいています。障がいのあるなしに関わらず映画を一緒に楽しみ、お互いに理解を深めていただく機会にもなっています。
　具体的には、主催者と配給会社との間に立ち、20作品ほどのバリアフリー映画を貸し出す事務局を担当しています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
【その他の活動について】
・劇場公開作品のバリアフリー化について独自ルートで告知
・コミュニティクラブたまがわにて音声ガイド制作に関する講座を担当
・各地での講演やワークショップ開催　など

　2019年、当法人は15周年を迎えることができました。節目の年として12月に、研修事業「CAPシネマ・スタディ２０１９」を実施しました。
　NPO法人アイ・サポートに視覚障がい者の誘導についてご指導をいただき、TOHOシネマズ日本橋のご協力のもと、映画館内の誘導と鑑賞、意見交換を行い、事業報告書にとりまとめました。研究事業を通じて得られた成果をもとに、ハンドブック「映画館にでかけよう！」を作成し、関係者に配布しました。このハンドブックは映画館に行き慣れていなくても、誘導の経験がなくても、視覚に不安がある友人知人と一緒に映画を楽しんでいただけるように作成したものです。ハンドブックのデータはＣＡＰサイトから自由に印刷してお使いいただけます。
　今後も様々な企画に挑戦していきたいと考えています。
　ＣＡＰでは活動にご賛同いただける会員を募集中です。
　詳細はこちらをご覧ください。
　http://www.npo-cap.jp/

　NPO法人シネマ・アクセス・パートナーズはシブカツサイト内の「コミュニティを探す」においても紹介しています。