全て
シブカツではNPO団体との連携を目的として、直接団体を訪問し情報交換を行っています。今回は毎週日曜日にリフレッシュ氷川で演劇の練習を行っているNPO法人劇団はーとふるはんどを取材しました。
「劇団はーとふるはんど」は、聴覚障がい、視覚障がい、知的障がいなど、様々な障がいを持つ人たちと共に芝居・ダンス・うたの公演を行っているNPO団体です。
山邉代表から団体を立ち上げた経緯や活動など興味深いお話をお聞きすることができました。
〇団体を立ち上げた経緯について
もともとは母が乳がんになったことがきっかけでした。私の中に「乳がんイコール切除すれば治る」という安易な気持ちがありました。それが間違いだということを母の死で思い知らされました。
母の左胸にできた進行の早いがんは、手術することもできず、抗がん剤も歯が立たず、気づいてから10か月で亡くなりました。そして担当医から「母親から娘に乳がんが遺伝する確率は80パーセントです。」と言われました。乳がんにちゃんと向き合って治すことの大切さを皆さんに伝えたいとの思いから、何かできることはないかと考えました。私は演歌歌手でデビューしていましたので、私にできることはカラオケ大会しかないと考え企画しました。
六本木のパーティールームをお借りして、"がん撲滅カラオケ大会"を開催しました。インターネットもない時代、私の後援会に手紙を出し参加者を募りました。収益金は日本対がん協会へ寄付させていただきました。
その時、『風の盆恋歌』を手話付きで歌われた方に感動したことが、はーとふるはんどの劇団設立につながります。その方から手話ダンスの発表会に誘われ「手話ダンス」の世界を知りました。彼女たちのパフォーマンスに感銘を受け、世の中に広めたいと純粋に思いました。それから手話を覚え、彼女たちと積極的に交流する中で「舞台製作」の思いが膨らみました。「一緒に舞台をつくりませんか」とお誘いしたところ、OKと即答をいただきました。
そして、2002年に芝居と手話ダンスの舞台をスタートしました。初演の舞台は、木国皓明先生に作演出をお引き受けいただきました。また、手話ダンスのステージングは紅白歌合戦の出場歌手の振り付けも行っている小井戸秀宅先生が引き受けていただけました。脚本・振り付けと一流の先生がご協力くださり、開催することができました、今思うと恵まれたスタートでした。
その後も、年1回の公演を続け、第15回公演の際に宝塚歌劇団の方が出ていただけることになり、自分だけでは手に負えないと思い不安になりました。そこで、以前から演劇で石井ふく子先生と親交があったので、先生に相談にお伺いしたところ協力していただけることになりました。それから先生には監修をお引き受けいただいています。
石井先生からは、劇団はーとふるはんどについて「山邉さんたちの舞台を見て感動したんですよ。普通、健常な人でもできない芝居をやられているんですよ。マイナス面をプラスに活かしているというのは素敵なことだと思い、私にできることならお手伝いさせてくださいと私の方からお願いしました。」とのコメントがありました。
それから劇団の活動も軌道に乗り、2021年に東京都より認証を受け、「NPO法人劇団はーとふるはんど」として生まれ変わりました。
〇団体の活動について
「はーとふるはんど」という名称には「やさしい手・心からの手」という意味があります。当団体は様々な障がいのある方とその障がいをサポートする仲間、そしてプロの歌手、俳優が共に手を取り"手話"を共通の言語とした芝居やダンス、うたの公演を行っています。障がい者への誤解や偏見をなくしたい、子どもたちへ手話を普及させたい、盲導犬などの補助犬が活躍できる社会を作りたい、そんな思いを芝居、ダンス、うたを通して伝えています。
〇舞台について
年に一回「芝居・ダンス・うたの公演」を手話をつけて行っています。来年、2022年2月19日土曜日に中央区立日本橋公会堂で第21回公演"母ちゃん、またね!"を開催します。本日は第21回公演に向けて配役が台本の読み合わせを行い、この舞台に出演する盲導犬トリトンも参加してくれました。トリトンもとてもいい演技をしてくれます。
ぜひ、公演を見に来ていただき、手話の楽しさ・魅力、障がいのある仲間たちの素晴らしさを知っていただけたらと思います。
最後に、初演舞台の出演者のお母さんの感想を紹介します。
「何年もの間、聞こえないという障がいを隠し、手話を人前で使うことも恥ずかしいとされていた時代があって、それが、こうして舞台でみんなが手話で踊ったり歌ったりするなんて信じられない!」
この言葉に私は自分が生まれてきた意味を知った気がしました。今日までの私の支えになっています。
NPO法人劇団はーとふるはんどはシブカツサイト内の「コミュニティを探す」においても紹介しています。
「何かを始めたいとは思っているけど、何をすればいいかわからない・・・。」、「共通の趣味を持っている仲間を探したい。」、「地域の活動に参加したい。」などのお問い合わせに対し、専用の相談窓口を開設して、皆様の生きがいづくりをサポートします。
他にも、各種講座・イベントの開催などを行います。皆様の「やりたいこと」が見つかる場所です。