NPO法人東京少年少女センターを取材しました

　シブカツではNPO団体との連携を目的として、直接団体を訪問し情報交換を行っています。今回は代々木で活動しているNPO法人東京少年少女センターを取材するため、代々木三丁目にある玉川上水跡広場を訪ねました。

　「東京少年少女センター」は、地域に子どもの異年齢の集団活動の輪を大きく広げたいと願って活動しているNPO法人です。
　
　７月の最終木曜日午後３時に待ち合わせ場所である玉川上水跡広場に着くと、小学校低学年の男女が10人くらい集まっていました。子どもたちの遊ぶ姿を見学しながら、神代代表からNPOを立ち上げた経緯や、活動内容、子どもたちの遊びなど興味深いお話をお聞きすることができました。

〇NPO立ち上げた経緯について
　当団体は古くから活動していて、私も50年近く携わってきました。1970年代、町会の子ども会がなくなっていく中で、地域に子どもたちが運営する子ども会的な活動が必要だというお母さんたちの熱い思いがありました。子どもたちの生活の荒れも目立っていた時代でした。地域に出ていた先生の協力と、学生たちの力も借りて、「有志子ども会を育てよう」ということで、関わっていたメンバーが集まって、団体を立ち上げ活動を続けてきました。その後、NPO法（特定非営利活動促進法）ができて、2000年に特定非営利活動法人の認証を受けました。

〇活動内容について
　定期的な活動としては、次の二つがあります。
【よよぎゆうゆう】
　平日の午後に、子どもとママのためのほっとスペースとして事務所を開放しています。室内より屋外がいいので、週一回木曜日の放課後に玉川上水跡広場で「外遊びの会」開催しています。
【森のようちえん】
　はるのおがわプレーパークなどを使って０歳から２歳（ゼロ・イチ・ニ）までの親子を対象とした「森のようちえん」と呼ばれる屋外活動を月２回続けています。そこで育った子たちが公園遊びの活動にも集まってきています。
　定期的なイベントとしては、主に次の二つがあります。
【少年少女キャンプ村】
　毎年８月に、長野県で子どもたちの「キャンプ村」を開催しています。例年やってきたキャンプ村は今年で49回目になりますが、コロナウイルス感染症の影響で中止することにしました。
　キャンプ村の会場は、ずいぶん前に、長野県にある新宿区がキャンプ場として使用していた場所を伊那市からお借りしています。荒れ放題の状態になっていたところを、草を刈ったり、朽ちた木を倒して、それを使って湿地に橋を架けたりとか、木道を作ったりして自前で整備してきたものです。
【少年少女雪まつり】
　冬から春にかけて飯山市の戸狩温泉のスキー場で「雪まつり」を開催しています。以前は、ホテルを借りてスキー場を転々として開催していましたが、民宿とコラボレーションするようになって20年近くなります。５年前までは、戸狩地区のスキー場の一角を借りて、地域の人たちと一緒に"都会の人たちのふるさとづくり"というイメージで、日本財団の助成事業も活用し、現地の人と東京の若者がコラボして里山整備を続けてきました。

〇子どもと遊びについて
　ボランティア活動をしたいという人がいればぜひ来ていただきたいですね。子どもたちとの関係をゆたかに築くことが重要と考えています。
　午後３時頃は集まった子たちでばらばらに遊んでいますが、放課後徐々に集まってきて、夕方になると20人くらいで一緒に遊ぶようになります。その中にボランティアの青年が入ることで、子どもたちも「一緒に遊ぼう」となります。最近は、ずっと"ドロケイ"が盛り上がっていて、チームに分かれて追いかけっこをやっています。だんだん集団的な遊びが上手になってきました。外遊びの会では集団的な遊びをすることで、人との交わりがゆたかになることを重視しています。
　この緑地は手つかずの環境で、春には藪の中からヨモギを摘んで団子を作って食べたり、夏には真っ赤になった山桃を木に登って食べたりしています。子どもたちも自然にふれるいろいろな体験で学習することができます。
　「よよぎゆうゆう」の外遊びの会に魅せられて、ここを目指して来る親子がいます。「ゆうゆうに夢中になる」というお母さんもいるほどです。
　今までは、お母さんたちの育児不安を解消するために、ゼロ・イチ・ニの取り組みを続けていて、小学生の遊び場はおまけのような形でした。しかし、特に今はコロナ禍で思うように友だちと遊ぶこともできなくなっていて、子どもたちの遊ぶ機会がないので、緊急事態宣言があけてからは、感染予防に気を付けながら、子どもたちの遊び場を積極的に提供しています。

　「実は、私は"やじろうべえ"という呼び名が付いていて、子どもたちからは、頭の二文字をとって"やじ"と呼ばれています。」と代表は笑顔でお話されていました。取材中も「"やじ"一緒に遊ぼう」と子どもたちから声をかけられたり、子どもが蹴ったボールが代表の頭に命中するハプニングがあったりしました。笑顔いっぱいの子どもたちの黄色い歓声がいつまでも響いていました。

　NPO法人東京少年少女センターはシブカツサイト内の「コミュニティを探す」においても紹介しています。