地域活動団体スペース・アイを取材しました

　シブカツでは地域活動団体との連携を目的として、直接団体を訪問し情報交換を行っています。今回は総合ケアコミュニティ・せせらぎを拠点に活動しているスペース・アイを取材しました。

　「スペース・アイ」は、日本語を母国語としない人の日常生活で言語による障壁を解消することを目的として、外国人と日本語での会話を行っているボランティア団体です。

　副代表から団体を立ち上げた経緯や活動、行事など興味深いお話をお聞きすることができました。

〇団体を立ち上げた経緯について
　当団体は誕生して19年目になります。外国人からしぶやボランティアセンターに日本人と話す機会が欲しいとの相談が複数あり、2003年にしぶやボランティアセンターの職員の方が「外国人に日本語でおしゃべりをする機会を提供してあげたい。」とボランティアグループの立ち上げについて、ボランティア登録者に声をかけたのがきっかけです。
　"スペース・アイ"の名前の由来は、"スペース"は互いに助け合う「場所」、"アイ"は「私」「愛」「会い」「相」など良い意味をもつ「アイ」が全部含まれています。

〇団体の活動について
　最初は６人ぐらいで全員が役員という形でスタートしました。それから広報活動として、メンバーが代々木にある青山スクールオブジャパニーズという日本語学校に声掛けし、学生たち20人ぐらいの参加がありました。それから口コミで広がり外国人もボランティアも増え、最も多い時で外国人が90人越えてしまい、運営に支障が出るため一時期加入をストップしたこともありました。今でも外国人もボランティアも60人弱います。
　外国人は日本で勤めている人、勉強している人、日本人と結婚している方が多いです。ベトナム大使館が近くにあり大使館の方も来られています。
　個別の活動としては、基本的に週１回、火曜日から土曜日までの都合の良い曜日で２時間程度、外国人とボランティアが１対１で、日本語で会話をしています。相手の日本語のレベルに合わせること、また相手が何を目的に日本語を話したいのかに合わせて会話を行っています。日本語が多少できることを加入の条件としています。
　緊急事態宣言が出ているときは、活動を自主的に休止していましたが、メンバーの中にはリモートで活動をしていた人もおり、それぞれのやり方で外国人とのコミュニケーションを継続しています。

〇行事について
　年間の行事として大きなイベントを行っています。以前は遠足も行っていました。遠足は2005年から始めためた行事で、10年程前に巣鴨のとげぬき地蔵尊に行った時には、チンドン屋さんと遭遇し、みな喜んで写真を撮っていました。
　日本文化を紹介して体験してもらうということをとても大事にしています。今年の６月には俳句の会を開催しました。俳句は外国人の間でとても流行っています。
　本日（10月23日）の午後は江戸風鈴の絵付け体験を行います。江戸風鈴を作っているお店は東京に２軒しかなく、篠原まるよし風鈴店の方を講師としてお招きして透明のガラスの風鈴に絵付けを行います。色とりどりの風鈴が出来上がります。
　11月にはお国自慢料理大会を開催する予定でしたがコロナのために実施できず、代わりに「切り絵」を行います。お国自慢料理大会は2004年から続けている行事で、母国から送ってもらった材料も使用し、それぞれの国の料理を作っています。色々な国の料理がずらりと並び、多い時は100人を超える人が大会を楽しんでいたこともあります。
　12月にはボランティア同士の親睦を目的とした懇親会を行う予定でしたが、コロナのため今年度も中止になりました。親睦会は年に１回の恒例行事で、新入会員の紹介の場にもなっています。日本は地震の多い国なので2016年と2018年に本所にある東京消防庁防災館（都民防災教育センター）へ見学に行きました。防災館は楽しみながら地震の揺れの体験、初期消火や応急救護、火災の煙からの避難要領など、防災に関する知識や技術を学ぶことができる体験施設です。外国人の方の防災意識の啓発にもつながり非常に有意義だったと思います。
　また、２年に１回は上原社会教育館の和室でお茶会を開催していましたが、コロナの収束が待たれます。先生をお呼びし、お茶席体験と同時に自分でもお茶をたててみることを通して日本文化を楽しんでいました。イベントはメンバー同士の交流が深まりとても人気があります。
　外国人と日本人が同じ立場に立ち、日本語を通して互いの文化や習慣への理解を深めることを目的としています。外国人には少しでも日本の生活が楽しくなっていただき、日本人には知らない文化に触れていただき、互いに尊敬しあい、仲良くなれればと思っています。

　地域活動団体スペース・アイはシブカツサイト内の「コミュニティを探す」においても紹介しています。